中学受験は家族の「歴史」です。

本人の意思とは関係なく始めた中学受験。でも、それがいつの間にか家族全員の共通目標となる。だから、中学受験は、家族の歴史の貴重な1ページになるはずです。中学受験真っ只中の皆さんに、何か役に立つ情報を発信していきたいと思います。

脱エリート校

先日、文部科学省有識者会議の報告書が公開されましたね。

 

 

「国立大付属校は、抽選導入や学力検査の廃止で、脱エリート校化を。」

「一部の国立大学付属校は、いわゆるエリート校化し、そこに通う子供の資質能力の向上に力を注ぐあまり、教育実習生の受け入れ先としての機能を十分に果たしていない。」

 

 

この一部の附属校とは、筑波大学付属駒場高校東京学芸大学付属高校、筑波大学付属高校お茶の水女子大学付属高校などを指しています。

国立大の付属校は本来、実験的・先導的な学校教育を行う、教育実習の実施、大学・学部の教員養成に関する研究への協力といった役割を担う目的で設立されています。

 

 

「選考にあたっては、例えば、学力テスト等を課さず、抽選と教育実習の実施校かつ研究・実験校であることに賛同する保護者の事前同意の組み合わせのみで選考する。」

「併せて、同一の国立大学の付属学校間で、無試験ないしそれに近い形で進学が可能となる、いわゆる連絡進学あるいは内部進学と呼ばれる仕組みについても、各大学及び付属学校において、多様性及び公平性等の観点からの見直しが検討されるべきである。」といった提言がされました。

 

 

衝撃的な内容であり、気になる提言をいくつか列挙します。

 

 

1つ目。

まず、「抽選」の導入で、優秀な生徒が入学しすぎない仕組みを作ってくるでしょう。

国立大付属校が本来の役割を果たせない最大の原因は、優秀な生徒が集まりすぎていることらしく。

だから、有識者会議では抽選の導入が勧告されています。

12歳の進路が「抽選」で決まってしまうなんて。。。

 

 

2つ目。

また、受験できる生徒をあらかじめ抽選で選ぶ仕組みや、適性検査の点数の高くない生徒をあえて抽選によって入学させるようなウルトラCもあり得ます。

今までのように、優秀な生徒が集まらないような仕組みが検討されるということ。

 

 

3つ目。

学力検査は廃止され、小学校の勉強で対応可能な「適性検査」に移行するかもしれません。

公立中高一貫校で行われているよな、知識偏重ではない、思考力や発想力を問うような問題に移行する可能性があります。

 

 

4つ目。

面接や学校の調査書を重視し、保護者に対しては、教育実験校であることを理解しているか事前同意を求めることにもなりそうです。

 

 

5つ目。

筑波大学付属中→筑波大学付属高、学芸大学付属竹早中→学芸大学付属高といった内部進学が批判され、一般の公立中学校と同じ条件になるべきだとされています。

筑波大学付属駒場中に入学したとしても、今までのように無条件で付属高へ上がることはできなくなり、一般の公立中学校と同様に、全員が高校入試をするようになることが予想されます。

 

 

提言では、「2021年度末までに見直せ」ということらしいです。

 

 

要は、そもそも「実験学校」なんだから、「東京大学附属中等教育学校を見習え」ということなのでしょう。

 

 

今後、東京圏では、開成や渋幕、日比谷といったエリート校?に優秀な中学受験生が流れてくることは想像できます。

 

 

たしかに国立大学付属校の本来の設立趣旨は、教員養成や教育の研究だったのかもしれませんが、そもそもこういうエリート校は、今や小中学校の教育研究の役割以上に、日本の国力が停滞する中で、国や社会を引っ張るエリートの輩出こそが期待されているのでは?

 

 

学校の役割は時代とともに変化する訳で、お上が、旧態依然とした価値観や役割を教育現場に押しつけるなら、今後の日本の教育はどうなってしまうのですかね?

 

 

いやいや、「筑駒消滅説」も出るくらい、「東京都の学校群制度の復活」くらいの衝撃的な提言でありました。

 

 

今後、提言どおり多くの国立大付属中高が「右ならえ」となれば、これらの学校の役割は激変するでしょうね。

 

 

では、また。